「下痢」
水分がふつうの便よりもかなり多く、液状に近い状態(8割が水分)になると下痢といいます。食べ物の消化吸収は、小腸で行われ水分は大腸で吸収されますが、その過程で異常が起きたときに下痢が起こります。
下痢が起こったときは、下痢便に血液が混じってないか(赤痢や腸チフス、腸炎ビブリオ性食中毒)、熱があるか(赤痢、腸炎ビブリオ性食中毒、サルモネラ食中毒など)、腹痛や吐き気があるかを確認することが大切です。こういう場合は緊急手当が必要な病気であることが多いので、すぐに医師の診察を受けるべきです。下痢は、急性下痢と慢性下痢とにわけられますが、この両者は原因も対処法もまったく異なっています。
急性下痢は激しいときには1日に10数回も水瀉便が出ることがあり、体の水分が不足し、ときには脳貧血をおこして、トイレで倒れてしまうこともあります。また、急性下痢はウイルスの感染性と非感染性にに分類されます。
慢性下痢は1日に1、2回の軟便という程度のものもあれば、ちょっとしたことで下痢を起こすというものもある。また、下痢をしなくても、腹が鳴る、腹がはる、ガスが多い、年中便意を感じるということもある。その他過敏性大腸炎(下痢と便秘を繰り返す様な症状)がある。
●急性下痢(水様便で排便回数が多く、腹痛を伴う)……暴飲暴食、冷たい飲み物や消化しにくい食べ物を食べたこと、寝冷えなどが原因。通
常は安静にすれば1〜2日で回復。食中毒やウイルス性腸炎、コレラ、赤痢、かぜ、ストレスなどが原因で起こるケースも。
●慢性下痢……過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎、糖尿病、吸収不良症候群、大腸がん、胃や肝臓、胆道、膵臓などの病気が原因。 |
●収れん剤……腸の粘膜に薄い膜をつくって保護し、腸液の過剰な分泌や、腸管の過剰な運動を鎮める。次硝酸ビスマス、タンニン酸アルブミンなど。
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●吸着剤……腸からの過剰な水分や粘液、毒素に吸着する。薬用炭、天然ケイ酸アルミニウムなど。
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●整腸剤……腸内での腐敗や発酵を抑え、腸の運動を抑制する。腸内殺菌剤、乳酸菌、ビフィズス菌など。 |
急性の下痢対策
横になって安静にし、症状がおさまるまでは絶食して原因を取り除くことが基本です。ただし、脱水状態が起こりやすいので、のどが乾いたら人肌程度のお湯や砂糖水などを補給することが大切です。
症状が軽くなったら、半流動食から3分〜5分〜7分〜全粥へと徐々に日常食へと進めます。りんごのすりおろしやにんじんスープは下痢を緩和させる効果があります。1回の食事量が多いと胃腸に負担がかかりますから、1日5〜6回に分け、熱いものや冷たいもの、油っぽいものは避けます。
慢性の下痢対策
慢性の下痢の場合、栄養障害を起こしがちで体力が低下するので、消化がよく栄養価の高い食事を摂ってください。お粥ばかり食べていると消化吸収力が低下して、下痢を長引かせます。避けた方がよい食品は、脂肪の多い肉や魚、食物繊維の多い野菜、腸内で発酵しやすい食品(加工していない豆類など)。
タンパク質の摂取も必要ですから、脂肪の少ない肉や魚をやわらかく煮たり、蒸したりして食べるとよいでしょう。油脂類を使うときは消化吸収のよいバターがおすすめです。
腸の働きを改善させる食事は
食物繊維をたっぷり含む野菜や海藻、いも類、豆類を中心にした昔ながらの和食を見直してください。胚芽米や麦めし、野菜や海藻の味噌汁、納豆、野菜の煮物やあえものを積極的に献立に取り入れましょう。最近は寄生虫病が再び流行していますから。食材は十分に洗ったり熱を通
して予防しましょう。
便秘・下痢の予防に効果があるビフィズス菌を多く含むヨーグルトなどもおすすめです。梅干しにはビフィズス菌を増やし、腸のぜん動運動を促進する効果
があります。これらを参考に、栄養バランスのとれた食事を楽しみながら摂るようにしましょう。
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